おにぎり ころりん すっぽんぽん

29歳で女を辞めて、33歳で社会人を辞めて、34歳でトランスジェンダーを辞めた私。私自身の想像をも盛大に超えて転がって行く私の人生。そんな中、パートナーの茉優を筆頭に、様々な他人を通して出会う私の闇たち。彼らに光を当てるように書いていけたらと思います。

インド人ナース ワルシャ

よくはないけどそういうものだから

そういって少し俯いたワルシャの悲しげな横顔

ミニーちゃんのようなコミカルな仕草とトーキング、
屈託のない笑顔で本当に楽しそうにするおしゃべり、

痛みのあまり泣きながら
「お願いだから痛みを減らして!」と懇願する私のために、

担当でもないのに力を尽くしてくれている時、
私に向けられた目の奥にあった深い優しさと愛

「私のtiffinを一緒に食べよう」と手術前夜に病室でピクニック。
無邪気に笑い、私達3人にそれぞれ、
チャパティに具をくるんで渡してくれる。
あなたのディナーを4人でシェアで足りるの?私たち夕飯食べたよ(・・;)

そんな彼女が初めて見せた深い深い悲しみ。
悲しみに飲み込まれまいと
必死に
自らに言い聞かせる
「そういうもの」
諦める努力。


ながーーーーい暗証番号で開き
見せてくれた
シークレットフォトフォルダの中。
両親とブラザーに見つからないように。

3つ年上の彼は会計士。
想像と違って髭もじゃでいかつい(笑)

とても優しい笑顔。

その横に写るいつものに柔らかさの加わった彼女の笑顔。
見てすぐ幸せと分かる笑顔。

写真を見せる彼女の顔は本当に嬉しそう。
私達に見せることが嬉しくてたまらないんだろうなぁ。


この顔を彼女の両親は知らない。
ブラザーは知らない。
クラスメイトは知らない。

もしかしたら一生知らずに過ごす。

 

ソレが誰を幸せにするんだろう?


かつての私を思い出す、

彼女のことが好きでたまらなくて

どれだけ魅力的な人か
どれだけ二人の相性が奇跡的か

私の大切な人にぜーーーーんぶ
知って欲しかった。

私のありのまま、
彼女のありのまま、

私達のありのまま、

で大切な人達との時間を過ごしたかった。


それができないことの悲しさ。

未来を思って抱いた悲しみとある種の諦め。


閉塞的になり、通気性の悪くなりやすい関係。


私は、
妹が17歳で自死した時、
妹の亡骸に寄り添って言った。

「カナコ、自分はあのKと付き合ってるんだよ!
ごめんね。ちゃんと言えばよかったね。私が抱えてきた苦しみ。Kとの出会いで私がどれだけ救われたか。Kとのありのまま。そしたらカナコから見える世界を少しは変えられたかもね。」

 

宗教?

ソサイエティ?

時代?

知識?

教育?

 

 


違う、


私は違った

 

 

私を縛っていたのはいつも私。


ワルシャ、あなたから笑顔を奪うのは
あなた。


今の私はそう思う。

 

お願いだから、
あんなにも素敵なあなたを
自らの手で暗いところに埋めたりしないで、、、

 

私はキラッキラなあなたを見ていたい

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

補足説明

手術した私立病院でたまたま知りあった23歳のドクターワルシャ。
会って数分で茉優と手を繋いで病室に入って来て大爆笑。

彼女は週7日21:00~9:00の夜勤。
多分産婦人科にいる。
女性患者に男性ドクターが付けないため代わりがいなくて休みがないらしい。

そんな中でも遊んでいるような感じで、軽やかに見える。
ちょくちょくうちらの病室に遊びきてくれるけど、、
全然疲れているようには見えない。

インドでは彼氏・彼女というのはよくないとされているらしく、
ワルシャも彼氏の存在をドクターの友達1人と彼氏のカズンシスター1人にしか打ち明けていない。
親や家族にバレたらbeatingされると言った。

彼氏の親は彼氏のカズンと結婚して欲しいと思っていて、その子はワルシャの大学のクラスメイトなため、クラスメイトの前でも隠さなければならないらしい。

arranged marriage
インドではlove marriage より
ずっとずっとメジャー。
年配の人だけでなく、若い世代の人たちも、
決して否定的には言わない。

あまりにも堅く強固に踏み固められた「当たり前」の前に、
疑問を持つことすらし難いように見えた。


ベンチで寝ていた私と茉優を家に招待してくれ、ナーシック名産のブドウやら何やらをご馳走してくれた専門学生ゲティカはお母さんと共に私に何度も言った。
「あなたは茉優とすぐに結婚すべきよ!次来る時には必ずgoodnewsを持ってくるのよ!」
怒りすら感じた、あまりの真剣さにたじろいでしまった。

ゲティカは23歳。
インドでは女性は25歳までに結婚しなければ、という。
その事実が彼女にどんなプレッシャーを与えているんだろう。
そう思ってしまった。

自分が心からいいと思うものをヒトに勧める時、怒りは生まれないように思う。

 

インドは家族や親戚の結び付きが本当に強い。
インドのgovernment hospital で見た、
患者さんの横で床に横になり眠る家族や親戚。
治療に来た母親の手を引く息子、
着替えさせる息子、
看護師の処置を手伝う母親、
毎日ほぼ1日中いて、仕事はどうしたんだろう?と不思議だった。

日本が失ってきたモノをそこに見た気がした。


それは反面異様な力で彼らを縛っているようにも見えた。

25歳までは娘に外を一人歩きさせない
遠出をする時は必ず親の許可が必要
旅をする時は必ず家族で
毎日親に電話をする
ボーイフレンドの有無を親や兄弟に監視される
母(子)がいないと生きていけないという

 

その異様なまでの結びつきが多くのインドの若者を苦しめているのかもしれない。
そんな気がした。